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雪囲いにおける考察シリーズ②

2021年12月 1日 / 福井 建築

ミゾレと霰が連日降り続く池田町。今夜は雪マーク。いよいよ冬到来です。
さて今回は、雪囲いにおける考察シリーズ2回目。早速見ていきましょう。

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こちらは池田町薮田地区(平野部)の雪囲い。傾いた支柱(90角@1,200)の頭部は躯体にホゾ差しで固定され、脚部は地面に据置きされています。そこへ貫材(21×105)をボルトで固定し、波板ポリカを胴縁で挟込みひも留め。よって「立掛け型上端差込み下端据置き工法/波板胴縁挟みボルトひも留め工法」であることが分かります。※新たに「ボルト留め工法」が加わりました。

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番付とボルト留めによって組立てと解体が容易で、1人作業による設置時間は幅4間(写真1枚目、約7.28m)で約半日。頑丈だが部材が長く重いので、腕力に自信のない人には設置難しい。貫材を継ぐ場合、支柱の幅が90mmあると端アキ確保できて安心。

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支柱の裏側の黒くて丸いものは、農業用電気柵のキャップ。ボルトの先端にジャストサイズだったので再利用したとのこと。建物の周りが薪置き場になっており、行き来する際に服が引っかかるのを防止できる。ナイスアイディア!

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こちらは軒天。垂木の下に支柱受けが常設されており、ここに支柱をホゾ差しする。

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軒の出は約910mm(垂木:45角@303)。積雪による軒先破壊の防止と、薪置き場の通行幅確保を両立させるために、立掛け型を採用。垂直型だと雪に押され巻込む恐れあり。

垂直下端.jpg

垂直型を採用する際は、段差を用いたり金物で地面と固定させるのがよい。


今回の雪囲いは、5年ほど前に新調されたもの。以前は竹で編んだものを使用していたが、もっと頑丈に設置しやすいものにしたいと考え、地元の大工さんに製作してもらったとのことでした。見た目で特徴的なのが「下部の密に配置された貫」。立地的に冬季は日中でも陽が当たらず雪が解けないため、長期的な雪圧に耐える必要がありました。長い暮らしの中で蓄積された知恵や経験が、この雪囲いには詰まっています。

柴田
※写真撮影およびHP掲載については家主様の許可を得ております。