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福井大学 卒業設計講評会

2011年2月21日 / 建築 見学

今年も2月20日の福井大学 卒業設計講評会に参加しました。

今年の審査員は
長田直之氏(建築家 奈良女子大学准教授)、
横山天心氏(建築家 富山大学講師)、
そして、私。

昨年より低調気味な作品群。
卒業設計となると、様々なモノゴトの関係性を複合的に読み解き、
それらに対する回答としての建築が求められます。
でも、今年の作品群は総じて、一視点、一方向からのみ解決を図る傾向が強かった。
この卒業設計の低調な傾向は全国的にあるみたいで、
「ゆとり世代(彼らはその第一期)」の弊害とみる分析もありました。

今回も岐阜、富山、福井の駅前の空洞化に対する問題に対して、
「賑わいの創成」という回答をしている作品がいくつかあったけど、
人口が減少していく世の中にあって、
駅前(身近な問題としては福井駅西口再開発)の「賑わいの創成」という課題は、
もはや意味をなさないのではないか。
都市の中の空洞化を何に、どうやって変換させるか、
何によって満たしていくのかが課題となるののではないでしょうか。
そんな問題設定を予感させてくれる作品もあったけど、
残念ながら、提案していたものは「あいかわらずの建築物」。

その中でも、世の中の問題意識や、周辺環境に対する配慮も薄く、
従来のビルディングタイプを脱却してはいないけど、
「卒業設計のトレンド」とは離れた位置にあり、
自分の目指す方向性を打ち出していた作品には、審査員の3人とも高評価。

卒業設計には、世の中に対する問題意識、
そして、そのことに対して、
「これからの建築にできる役割」をみせてくれることを期待したいです。

「駅前の顔=立派なビル=賑わいの創成」という
3段論法的流れの福井駅西口再開発にも、
これからの福井に本当に必要なものは何か、
もう一度見直しが必要なのではないでしょうかね...。