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屋島ハウス

長野市の住宅。このあたりは須坂市との間を流れる千曲川から発生する霧によって美味しい林檎が採れます。そして古くからある集落は私の父の故郷でもあり、昔、近くの神社で従兄弟達と遊んだ記憶のある場所。

依頼内容

道路整備の為に移転して新築を行うことに。現在では、この古い集落の中にも新興住宅地のような住宅を見かけますが、施主は今までの年月が刻まれた田舎の景色に溶け込む住宅を望まれ、私自身も自分の記憶にある景色を大事にしたいと考えました。また、当時、既に中学生と高校生になっていた子供3人の為の空間や将来の家族形態にあわせた転用が可能な計画。

アイデア

林檎畑に隣接している為、散布される薬剤に含まれる硫黄に対抗できる素材として選んだのは、平瓦と霧島そとん壁。
瓦屋根に必要な勾配を利用しながら内部のボリュームを確保し、近隣に圧迫感を軽減する為に建物が雁行しています。そして3箇所の吹き抜けを設けることで安定した温熱環境の構築と、仲の良い家族5人の関係が継続され、将来的な2世帯住宅への転用が図れるようになっています。

価値

竣工後、県外の大学へ進学していった3人の子供達。将来、就職や家庭を持った時に彼らの拠り所となる故郷。施主家族の人生の拠点に相応しい住まいとなりました。
また、私にとっても亡き父の故郷、のどかな風景が残る地に残せた仕事の証です。