WORKS

わくラボ

山間に佇む人口2700人のまち・福井県池田町に誕生したレンタルオフィス「わくラボ」。半世紀以上前に小学校分校(軽量鉄骨造)として建てられ、1996年からは歴史民俗資料館として使われていた施設を改修したものです。既存の部分をなるべく活用しながら改修し、講堂の2方向と教室棟の1階に木造による下屋+テラスの増築を行っています。旧教室はオフィスや創作のための工房に。旧体育館は地域の子育て世代の母親が働くカフェになりました。

依頼内容

町民の多くが町外に働きにでる環境のなか町内での就業の場をつくり、賑わいを生み出すことを目指すプロジェクト。町が求めたのは、「旧小学校の雰囲気が残りつつ快適に働くことができる場所」、そして「雪国の建築らしく、これからの池田町の景観の規範となるもの」。改修前は資料館として整備された為、高所の排煙窓があるだけで開口部は少なく、外の景色を楽しめない閉鎖的な造りでした。

アイデア

問題解決のヒントになったのが、雪国の知恵「雪囲い」。増築した下屋が、夏は直射日光を遮り、冬は雪避けとなることで良好な室内環境を維持します。下屋の下にあるデッキは室内の拡張空間としても活用されることで、周囲の自然を楽しむ気持ちの良い空間として整備しました。

価値

活用がされていなかった公共建築。今回のプロジェクトによって再び賑わいのある場となり、利用者が町の魅力に触れ、交流する仕組みが生み出されました。また、雪国らしい景観を整備していくための指標となり豊かな池田町の景観ををつくりだすことができました。

【改修前・外観】
左手は体育館、右手は教室棟。

【改修前・内観】
床は小学校時代のまま。テープの跡や傷も極力残しました。