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街の覆い

福井市のなかでも近隣に多様な文教施設と商業施設が多く、住宅地としても人気のあるエリア。戦後の人口増加の際に田畑を埋立て単調な区割りがなされているが、幹線道路からの通り抜け道路に接していない街区は落着きがあり、ゆとりのある敷地の住宅に囲まれている。もともと2世帯住宅も検討していた広い敷地のなかで、どのようなゾーニングとするか検討したのち、住宅を中心に配置し周囲に「余白」を持たせたものとした。余白は住宅にとって多面からの採光や通風を確保するとともに隣家との関係に適度な距離を保ち、小さなエリアでの豊かな住環境の形成に寄与している。

アイデア

平面計画においては広い敷地のなかで玄関からの距離をつくりつつ、余白の延長を四方に抱え込むことで生活の場が外部と接しながら展開していくことを意識した。駐車棟を含め全体的にワンボリュームの形態に外部が差込み、「余白」と生活シーンが織りなす構成とし、ゆとりのある大きさの各居室がシフトして連続することで、分節された内部空間の独立性と一体性のバランスをとっている。
構造計画においては、屋根荷重を負担する垂木や梁の掛ける方向をコントロールするとともに、分節された内部空間に適宜、柱を設けることで内部空間を覆う屋根を厚みが均質的なもの、かつ、圧迫感のないサイズとしている。

価値

街のなかにつくられた折り返しがある切妻屋根の「覆い」は、「余白」を抱えながら南北に織りなす住宅の各機能に適切な天井高さを確保することで豊かな内部空間をうみだし、周囲に対して圧迫感を与えない輪郭は地域の豊かな住環境を形成しています。

施工:(有)中村工務店
写真:Tomomi Takano

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