敷地は典型的な田舎の平野部、田に囲まれた人通りの少ない集落。敷地内には母屋と蔵と車庫、くたびれた日本庭園と畑があり、どこにも林の景色はありませんでした。
「 林の中に住む。」施主との会話の中で出てきた何気ない言葉。
盛土をした木々の中、建物中心部を浮かすことで建物内部だけではなく外部にも庭の連続性を確保し、庭の気配や通風を遮らないようにしています。シンプルな切妻とした屋根は、積雪地の為に大きくなる構造材の構成を工夫し、軒先部分を薄くすることで夏の日射抑制と眺望の確保を両立。緩衝地帯となる縁側は設けず、北の庭と南の庭が存在感を抑えたファサードと直接繋がるようにして室内と室外の一体化を図りました。
敷地周囲は人通りも少なく隣家の垣根によって囲まれており、ガラスに囲まれた住まいは敷地以上の拡がりを得ています。この地に住む為の「林の中に住む」という意思はカタチとなりました。