森から生まれ、森を育て、人と森との共存をめざす、【PURE JAPAN MADE】のお箸づくりを掲げるスタイル・オブ・ジャパンのファブ兼ギャラリー。森とともにある同社のエコシステムに位置づく増築計画として、構造材はすべて県産杉を利用しています。企業のCIである黒色は内外装の地として使用し、軽やかな大空間を構成する県産杉の架構と、同社が製作する鮮やかなお箸を美しく際立たせています。
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年間-383,600kgものCO2削減を目標としているスタイル・オブ・ジャパン。サプライチェーンまでを見据えて、この膨大な量のCO2の削減を達成しようとしています。例えば国産材利用により木材輸送に係るCO2を削減。またCO2を吸収しなくなった古木を間伐して材料とし、さらにCO2吸収量の多い若木を育成することでCO2を削減したり。私たちはこの取り組み姿勢に共感し、脱炭素に貢献し、同社の環境意識の高さを広く訴求する建築の実現をめざしました。
建築はお箸をつくり、展示するための「素の器」のようなあり方を考えました。器としての伽藍を構成する木の架構と、お箸を美しく展示するための黒い壁面という必要最小限の仕上で建築を構成しています。木架構は小屋梁の上部でトラスを構成し、大スパンをとばしています。ファブ、ワークショップ、展示会など、ワークシーンに応じて弾力的に対応できるフレキシビリティを確保しました。黒い壁面は小屋梁の上下で、透過率を切り替えています。下部はお箸を美しく見せる不透過な壁、上部は空間の拡がりを感じさせる半透明な壁として隣接するエントランス・ギャラリースペースを緩やかに連続させました。
また隣接するオフィスとの間の中庭に面して大開口とテラスを設けました。中間期には4枚引きの大開口と上部の引き違い窓を開け放ち、全体が心地よい半外部空間となります。またイベント時には壁面より中庭に向けてタープを張ることで、中庭と内部を一体的に利用できる計画としています。
森とともにあるスタイル・オブ・ジャパンに相応しい、木と黒で構成する「素の器」としての建築をつくることができました。