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福井銀行今立支店『地銀と地域』

銀行事業の未来的戦略の一つとして支店統合が進む中、越前和紙の産地である今立も既存2店を統合。敷地は旧今立町庁舎の跡地であり分庁舎や文化施設のある地域の中心地。雪深い地の本施設は 『普請』となるよう、木造・左官・和紙の『手仕事の建築』。他にはない新しい機能「地域交流室」「アプローチテラス」を備え、地域の人々が豊かな生活をする為の社会性や交流を育みます。

依頼内容

1500年の歴史がある伝統産業「越前和紙」が地域の経済・文化そのものである今立に、地域経済の交流拠点としての役割が更に展開されていくことを地銀の未来的戦略のひとつとして描かれました。 また、建築が元来持っている『普請』を地域とともに歩む銀行の事業として、お得意さまでもある地域の建築業者が参加できるものであることを位置づけらました。

アイデア

積雪2m(軽減無し)に対する耐力壁を袖壁の列柱で確保。左官で仕上げたグレー色の袖壁奥には黒色の金属建具・外壁を設置し、外観を特徴づけるとともに日射を抑制。内部は人が触る範囲は左官仕上とし、上部はグレーで統一しながら空間ごとに4つの工房による手漉き越前和紙として統一と変化を与えています。また、「利便性」の名のもとに動線を短くするのではなく、駐車場→アプローチテラス→風除室(ATMの稼働している21時まで)→地域交流室(行員の業務時間の17時まで)→ロビー(窓口業務の15時まで)という順に内部を回遊したところに窓口業務を設置。銀行特有の営業時間にあわせたレイアウトにより利用者や行員のアクティビティをコントロールし、この場所が豊かな社会性を生みだすようにデザインしました。

価値

地方において特殊な木造構法を用いることは技術者確保・コストにおいて大きな負担となり、その波及効果を期待できません。地方銀行の役割を考えたときに特異な建築をつくるのではなく一般的な集成材、流通している金物を用いることで地方の建設業者も施工が可能となり、汎用性をもつ先駆的モデルの役割を果たすと考えました。また、伝統産業が息づく地域の企業や人々に馴染む和紙や左官仕上とすることで、地域が誇る建築となりました。

施工:関組+キヨエイビルドJV
和紙:杉原商店
写真:たとり直樹 Tomomi Takano

木造の建方時 地域の山並みと

地域のテラス

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