WORKS

池田町 フォーシーズンテラス

山あいに佇む人口2200人のまちの新たな観光拠点。残土置場となった遊休施設が、美しい農村の景観や特産品を享受する道のオアシスへと生まれ変わりました。厳冬期には2mを超える積雪や、渓流へと下る急傾斜の山面が織りなす美しくも厳しい自然環境と、たおやかな廊のような建築が響き合う、まちの希望を未来につなぐ風景を創出しました。

依頼内容

年間200 日もの間、雪に閉ざされる冠山峠に2023 年11 月、冠山トンネルが開通しました。池田町道のオアシス フォーシーズンテラスは福井と岐阜の県境をまたぐこのトンネルのたもとに整備された道のオアシスです。 この建築が建つ池田町は、中心部に足羽川が流れ、深緑の木立ちが並ぶ山裾に集落が点在する美しいまちである一方で、年々急速な限界集落化が進んでいます。冠山トンネルの開通は、町にとって地域社会の環境を好転させる待望の契機でした。これに併せて計画された本プロジェクトは来訪者に滞在型観光の場を提供し、町の魅力を訴求する新たなゲートウェイを整備することを目的としています。

アイデア

本建築は外周部に半外部空間を巡らせ、梁間方向は風雨、堆雪から建築を保護する緩衝帯を設け、内部と合わせて計6間の木造架構で構成しています。この架構を桁行方向に36 間反復させ、厳しい自然と対峙しながらもその美しさを享受する廊のような建築をめざしましました。
ボリュームは川面をより近くに感じるため法面に跳ねだし、展望デッキは、大屋根で地形とともに建築と統合しました。基礎には鋼管杭の杭頭と鉄骨土台を直接緊結する、コンクリートを極力使用しない構法を採用し、美しい自然に敬意をはらっています。 また外気負荷を低減する居室配置と空調換気方式の採用により、透明な外皮をまといながらも、省エネ・省CO2 と快適な居室環境の構築を両立しています。 美しい農村景観を讃え、脱炭素先行地域にも指定される池田町に相応しい地域にねざした建築となりました。

価値

池田町では今後、本プロジェクトを通じた観光振興を基盤として、農林業振興、地域活性化、雇用促進、Iターン促進などにも効果を波及させ、町全体の魅力向上を図っていきます。本プロジェクトは池田町の希望を未来に繋げる試みの第一歩となりました。

遊休化していたマレットゴルフ場

積雪時でも安全にアプローチできる計画

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